「乾癬」と「働く」を考える #1:働く乾癬患者は「RDワーカー」なのか?
「このまま仕事を続けられるだろうか。」
乾癬や乾癬性関節炎のある方で、一度でもそんな不安を感じたことがある方は少なくないのではないでしょうか。
私自身も乾癬患者の一人として働いています。通院の時間を確保したり、鱗屑が落ちていないか座っている椅子やデスクの周りを常に気にかけたり、痛みや倦怠感で思うように仕事がはかどらなかったり。病気と仕事の両立は、決して簡単なことではありません。
2026年7月14日、都内で開催された「RDワーカーフォーラム2026『難病と働くをひらく―誰もが働きやすい社会へ―』」に参加してきました。難病当事者、企業、支援者など、立場の異なる人たちが一堂に会し、当事者の実体験や企業の実践事例をもとに「難病とともに働く」ことについて語り合う場でした。そこで共通言語として交わされていたのが、「RDワーカー(Rare Disease Worker)」という言葉です。
RDワーカーとは、NPO法人両育わーるどが提唱した概念で、国の指定難病だけではなく、希少疾患や難治性慢性疾患と共に働く人、働こうとしている人を指す言葉です。「RD」は、2008年にスウェーデンで始まった「RDD(Rare Disease Day 世界希少・難治性疾患の日)」に由来しています。ここでの「Rare」には、単に希少(疾患)という意味だけでなく、
という3つの「少なさ(Rare)」を抱えている、という意味が込められています。
この定義に照らすと、乾癬とともに働く私たちも、まぎれもなくRDワーカーの一人です。
乾癬は、良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。症状が比較的落ち着いている時期もあれば、悪化する時期もあります。乾癬性関節炎を伴う方は、痛みの部位や強さによって動きやすさが日によって変わることもあるでしょう。
私自身、20代で乾癬性関節炎を発症した時、朝起きて激しい痛みで体を動かすことができず、仕事を休んでしまったことが何度もありました。30代では、症状の悪化による休職を経験したこともあります。現在は、自分の働きやすさを模索しながら、在宅ワークや時短勤務を活用して働き続けることができています。
乾癬とともに生きるみなさんも、病を抱えながら仕事を続ける中で、時に壁にぶつかったり、働き方を調整してきた方も多いのではないでしょうか。
RDワーカーという考え方の特徴は、病名でひとくくりにするのではなく、一人ひとりの症状の波と勤務時間の関係に着目している点です。両育わーるどでは、体調の変動パターンを「ゆるゆる変動」「そこそこ変動」「せかせか変動」の3つに整理し、それぞれに合った働き方を提案しています。
出典:NPO法人両育わーるど公式サイトより(https://ryoiku.org/rdworker/)
こうした症状の波を「個人が我慢して乗り越えるもの」ではなく、「働き方を柔軟に組み立てるためのヒント」として捉え直すことができます。それは甘えではなく、一人ひとりに合った持続可能な働き方の選び方なのです。
RDワーカーという言葉を提唱した人たちは、こうした存在を単に「支援される存在」ではなく、誰もが働きやすい社会を創る「先駆者」だと位置づけています。乾癬という病気を抱えながら試行錯誤を重ねてきた私たちの経験は、実はこれからの働き方のヒントになり得るのです。
「自分だけが特別に苦労している」—そう感じてしまう瞬間があるかもしれません。しかし実際には、乾癬を抱えながら、自分らしく無理なく働くために、工夫を重ねている方も数多くいます。
日本乾癬患者連合会が作成した「働く乾癬患者さんのためのガイド」には、乾癬とともに働く患者さんたちの声が掲載されています。
もちろん、職場に伝えるかどうか、どこまで伝えるかは人それぞれです。無理に開示する必要はありません。ただ、乾癬とともに働く仲間が、社会の中に確かに存在していること、そしてその一人ひとりがRDワーカーとして新しい働き方を切り拓いていることを、まずは知っていただけたらと思います。
次回は、実際に職場に病気のことを伝えたり、働きやすさについて相談したりする際に役立つ、「働く乾癬患者さんのためのガイド」の具体的な内容や使い方をご紹介します。
*日本乾癬患者連合会「働く乾癬患者さんのためのガイド」(2024年11月)p6より抜粋

奥瀬正紀
睦月山羊座の O 型です。乾癬とは 20 年と少しのお付き合いです。 お勤めはすでにリタイアしていますが旧職場の仲間たちとは今でもときどき交流を図っています。 地域でのつながりも大切と考えて数年前から地元でボランティア活動にも参加しています。 患者団体の活動で知り合った仲間やお世話になっている方々も私にとって大切な人たちです。 病気を持ちながらの人生ではありますが、たくさんの人たちとかかわれていることはとても幸せだと感じています。 当ウェブサイトのメンバー紹介もあわせてご参照ください。
角田洋子
テキスト
添川雅之
テキスト

山下織江
1男1女の母。七夕生まれ。空を眺めるのが好きすぎて、気象予報士の資格を取得。温泉も大好きで、学生時代は乾癬を治したい一心もあり、 温泉宿に長期住み込みバイトをした経験も。少し人見知りですが、外へ出かけて新しい世界に触れるのが大好きです。 最近は、ヨガを毎日コツコツ続けています。走るのが好きでしたが、関節炎の症状が出てからは、街や自然の中をのんびり歩くのがお気に入りです。 こちら のプロフィールも、よろしければご覧ください。

柴崎弘之
人との出会いを大切にしながら、患者会や学会をきっかけに全国を訪れることも楽しみの一つです。イベントやSNSなどを通して、乾癬への正しい理解が少しずつ広がり、患者さんが安心して笑顔で過ごせる社会を目指して情報発信を続けています。旅行やドライブが好きで、新しい景色やおいしいものとの出会いも楽しみの一つ。実は、いちごが大好きで、旬の季節にはつい食べ過ぎてしまうのは内緒です。
鈴木由香里
テキスト

今井梨紗子
大阪出身。就職をきっかけに奈良へ移り住み、気がつけばもうすぐ10年。奈良の暮らしにすっかり魅了され、毎日鹿を眺めながら癒やされています。2025年に第一子を出産し、現在は育児に奮闘中です。最近の楽しみは、子どもが寝たあとの貴重なひとり時間です。乾癬とは子どもの頃からの付き合いですが、長い間症状を隠して過ごしてきました。その反動もあってか、今は乾癬について積極的に発信する側になりました。よろしくお願いします。
乾癬患者・家族の方へ
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