「グルテンフリーダイエット」って乾癬に効果あるの?
「グルテン」とは小麦に含まれるたんぱく質であるグルテニンとグリアジンが水と反応して生成される物質です。パンのもちもちとした食感は小麦粉に水を加えて捏ねることで生成されるグルテンによるものです。
「グルテンフリーダイエット」とは「グルテン」を摂取しない食事、もしくは食生活という意味です。海外では体によい食事あるいは健康的な食生活として取り入れている人もいて、最近は日本でも知られるようになってきています。
グルテンと乾癬との関連で注目されているのが「セリアック病(グルテン過敏性腸疾患)」です。セリアック病は特定の遺伝子を持つ人がグルテンを摂取することにより発症する自己免疫疾患です1。セリアック病についてはこちら(日本語)をご参照ください。
乾癬患者におけるセリアック病の有病率は非乾癬患者の約2倍で、セリアック病患者における将来の乾癬発症リスクは非セリアック病患者の1.7倍という報告があります2。日本人におけるセリアック病の有病率は0.05%という報告がありますが3、日本人乾癬患者におけるセリアック病の有病率を示したデータはありませんでした。
グルテンフリーダイエットは、セリアック病と診断されている乾癬患者においてはセリアック病の消化器症状を改善させるだけでなく、乾癬の重症度も低下させたという報告がありますが4、セリアック病ではない乾癬患者においては有用ではなかったという報告があります5,6。
また、セリアック病ではない人では、グルテンの摂取量は乾癬/乾癬性関節炎の発症には関連していなかったという報告もあります7。グルテンフリーダイエットは、セリアック病(グルテン過敏症を含む)のある乾癬患者では推奨されていますが、行う場合には乾癬に対する標準治療との併用で行わなければなりません9。
グルテンはグルテニンとグリアジンにより生成される物質ですが、グリアジンに類似したたんぱく質として、ライ麦にはセカリン、大麦にはホルデイン、オーツ麦にはアベニンが含まれており、これらもグルテンと総称しています8。したがって、セリアック病のある乾癬患者はこれら小麦以外の麦も避けた方がよいでしょう。
また、国際食品規格委員会の食品表示に関する国際規格では20mg/kg未満のグルテンを含む製品は「グルテンフリー」と表示できることになっていますが、セリアック病患者におけるグルテン許容量には個人差(10~100mg/day)があるため8、注意が必要です。
日本では、小麦は食物アレルギーの原因となる特定原材料として表示しなければなりませんが、その他の麦やグルテンは表示義務がありません。つまり、グルテンフリーダイエットを厳密に行おうとすれば、日本では表示の問題からグルテンを100%除去することがむずかしい可能性があり、日々の食事にかなり気を配る必要があります。
グルテンフリーダイエットは、セリアック病のない乾癬患者では、乾癬に対する効果はなく、むしろ体に必要な栄養素の摂取を妨げる可能性もありますので、必ずしも好ましいものではないと考えられます。
参考文献:

奥瀬正紀
睦月山羊座の O 型です。乾癬とは 20 年と少しのお付き合いです。 お勤めはすでにリタイアしていますが旧職場の仲間たちとは今でもときどき交流を図っています。 地域でのつながりも大切と考えて数年前から地元でボランティア活動にも参加しています。 患者団体の活動で知り合った仲間やお世話になっている方々も私にとって大切な人たちです。 病気を持ちながらの人生ではありますが、たくさんの人たちとかかわれていることはとても幸せだと感じています。 当ウェブサイトのメンバー紹介もあわせてご参照ください。
角田洋子
テキスト
添川雅之
テキスト

山下織江
1男1女の母。七夕生まれ。空を眺めるのが好きすぎて、気象予報士の資格を取得。温泉も大好きで、学生時代は乾癬を治したい一心もあり、 温泉宿に長期住み込みバイトをした経験も。少し人見知りですが、外へ出かけて新しい世界に触れるのが大好きです。 最近は、ヨガを毎日コツコツ続けています。走るのが好きでしたが、関節炎の症状が出てからは、街や自然の中をのんびり歩くのがお気に入りです。 こちら のプロフィールも、よろしければご覧ください。

柴崎弘之
人との出会いを大切にしながら、患者会や学会をきっかけに全国を訪れることも楽しみの一つです。イベントやSNSなどを通して、乾癬への正しい理解が少しずつ広がり、患者さんが安心して笑顔で過ごせる社会を目指して情報発信を続けています。旅行やドライブが好きで、新しい景色やおいしいものとの出会いも楽しみの一つ。実は、いちごが大好きで、旬の季節にはつい食べ過ぎてしまうのは内緒です。
鈴木由香里
テキスト

今井梨紗子
大阪出身。就職をきっかけに奈良へ移り住み、気がつけばもうすぐ10年。奈良の暮らしにすっかり魅了され、毎日鹿を眺めながら癒やされています。2025年に第一子を出産し、現在は育児に奮闘中です。最近の楽しみは、子どもが寝たあとの貴重なひとり時間です。乾癬とは子どもの頃からの付き合いですが、長い間症状を隠して過ごしてきました。その反動もあってか、今は乾癬について積極的に発信する側になりました。よろしくお願いします。
乾癬患者・家族の方へ
あなたの声を、明日の医療や社会に活かしませんか?
乾癬とともに生きるあなたの経験や想いは、これからの医療や社会をより良くするために、欠かせない力です。乾癬があっても安心して暮らせる社会を実現するために、あなたの声を届けてみませんか。
募集中の治験情報
